科名:セリ科 / 属名:シシウド属

和名:当帰 / 生薬名:当帰(とうき)  / 学名:Angelica acutiloba


本州の山地の岩場、がけ、岩れき地で自生・また薬用植物として各地で栽培。


当帰は、シシウド属ーせり科の植物で日本では奈良県、和歌山県などの近畿地方から東北、北海道の北日本や中国などで山地に自生していたり、薬用植物として栽培されたりする多年草の植物です。


当帰には、日本の当帰や中国の当帰の他に、アメリカトウキやヨーロッパトウキがあります。


全草に特異な甘い芳香があり、茎は直立して高さが50~80㎝になる大型の多年草草本で、茎と葉柄(ようへい)は赤紫色を帯びていて、葉は3つに分かれていて、セリの葉に似ています。


葉柄の基部は鞘(さや)となって茎を抱き、小葉は広い皮針形で縁にギザギザがあって表面は暗緑色で光沢があります。主根があり太く多くの枝根を出しています。


8~9月ころに花茎を出して多数の小白花をから傘状(複散形花序)につけます。果実は長さ5~6ミリの長楕円形です。


徳川幕府八代将軍吉宗が、くすりの産業をもりたて医療面を充実させようとする時代に、薬師(くすし:医師で薬剤師)で薬を作っている学者の植村佐平次や、吉野葛生産者で本草学者の森野藤助(森野通貞)らが、大和国(現在の奈良県)で当帰を見いだされ、森野により栽培加工法が確立されました。


日本で自生している当帰のなかで、一番品質がよいとされるのは「大和当帰(ヤマトトウキ)」「大深当帰(オオブカトウキ)」です。北海当帰は主に北海道で栽培されており、大和当帰は奈良県吉野地方(大宇陀地方)や和歌山県などで栽培されています。成漢方薬局も大和当帰大深を栽培しています。


滋養強壮 頭痛 しもやけ ひび・あかぎれ 産前産後 冷え症


根を普通に湯通しして、乾燥させたものを用います。


当帰は、病人に与えると健康に帰る「当に帰る」との意味がぴったりになります。

婦人産後の重要な薬草で、各地で栽培されています。


当帰は、血を補い潤す作用があり、腰の痛み、不正出血、出血を伴う下痢、排膿、など色々な薬能などがあります。ほかに、経絡(皮膚、筋肉、関節、骨、神経など)を温める作用もあります。


特に当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)などがその一例です。強壮、鎮痛、鎮静を目標に婦人薬、冷え性薬としてもちい婦人科の各種疾患に処方されています。


当帰飲子(とうきいんし)

当帰建中湯(とうきけんちゅうとう)

当帰湯(とうきとう)

当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)

当帰四逆湯(とうきしぎゃくとう)

清暑益気湯(せいしょえっきとう)


など多数の使用処方があります。  (例 大成漢方薬局)



葉の部分は、独特の香りをもち、大変栄養もあるので天ぷらにしても、おいしく食べられます。

 

他に、根を蒸留酒ホワイトリカーに漬けることで、良い味や香りなどを楽しめ、末梢血管を広げる作用があり、身体を温め血の流れる働きを良くし、又、リラックス効果もあり身体によい薬味酒です。